突然くらっとした、視界が回った、立ち上がった瞬間にふらついた、フワフワした感覚があるなど、普段生活をしていてめまいを感じることはありませんか
実はめまいは誰もがなる可能性のある症状です。
例えばその場で10回まわってみると、視界は大きくゆがみ、まっすぐに歩けなくなる方が多くなります。
これは少し極端な例ですが、めまいが起きるとこれと同様に実際に視界がゆがんだり、回転したり、揺れたりします。
その結果、足元がふらついたり、普通に動けなくなる状態に陥ってしまいます。
「死にたくなるほど辛い」と形容される方もいらっしゃるほど、めまいの症状は非常につらいものです。
しかし、めまいの辛さはなった人にしか分かりません。
軽い立ちくらみ程度の症状は誰もが一度は経験したことがあるため、それがめまいの症状と勘違いしてしまい「私もたまにふらつくことあるけど、我慢できないほどじゃないね」と、めまいを「たかがめまい」と感じている方も多いのも事実です。
そのため、「めまいで会社を休まざるを得ない状態なのに、周りの人にズル休みじゃないかと疑われる・・・」など、周りからの理解が得られずに苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
実はこういったつらいめまいの最大の原因は自立神経の乱れにあります。
ここでは、そんなめまいの原因と改善方法について自立神経の観点から詳しく解説していきます。
めまい持ちの方や、めまいに長年悩んでこられた方はぜひ参考にしてください。
めまいの種類と主な症状
一言にめまいと言っても、めまいの症状の出方によって次の3種類に分類されています。
- 回転性めまい・・・「くらくら」「ぐるぐる」など視界がまわっているような症状
- 浮動性(動揺性)めまい・・・「ふわふわ」など体が浮いているような症状
- 眼前暗黒感めまい・・・立ちくらみのように、目の前が真っ暗になりふらついてしまう症状
それぞれなぜ症状の出方に違いがあるのか、その理由は次の図のようにそれぞれ原因となっている場所が違うためです。
では、3種類それぞれのめまいについて詳しく解説していきます。
回転性めまい
回転性めまいは、自分が全く動いていないのにも関わらず、「くらくら」「ぐるぐる」と視界がまわっているような症状が出るめまいのことです。
回転性めまいの原因は、主に耳の三半規管(さんはんきかん)にあります。
三半規管はリンパ液と呼ばれる液体で満たされており、その液体の動きによって、私たちの体がどれくらいの速度で動いており、どの方向に動いているのか、体がどれくらい傾いているのかなどを判断しています。
例えば、その場で10回まわると、動きを止めても目が回るのは、三半規管のリンパ液が動きを止めた後も回り続けているためです。
このように、三半規管は人間の動きを察知するセンサーの役割を持ち、平衡感覚を保つために重要な働きをしています。
回転性めまいは、この三半規管を満たしているリンパ液がある原因によって多くなりすぎてしまうことによって起こります。
満たされたリンパ液が体を動かしていないのにもかかわらず動いてしまい、三半規管が「体が動いている」と勘違いしてしまうのです。
そのため、動いていないのにも関わらず「くらくら」「ぐるぐる」と視界がまわっているような回転性めまいの症状が起こってしまうのです。
また、回転性めまいの場合は、合わせて耳鳴りの症状が現れる場合があります。
これは、三半規管の異常が音を感知する器官である「蝸牛」に広がってしまうことにより起こります。
「耳鳴り」の他にも「吐き気」や「嘔吐」を伴う場合があります。
浮動性(動揺性)めまい
浮動性(動揺性)めまいは、「ふわふわ」と体が浮いているような症状が現れるのが特徴です。
浮動性(動揺性)めまいの原因は、脳幹と小脳にあります。
脳幹と小脳は、三半規管と同様に私たちの平衡感覚を保つ重要な働きをしている器官です。
脳幹と小脳は、三半規管で集めた平衡感覚の情報を元に、体に様々な信号を送り、バランス感覚をコントロールしています。
その脳幹と小脳の機能が病気など様々な原因によって低下してしまうと、体の平行感覚を失ってしまいふわふわとしたふらつきや、なんでもないところで転んでしまう、などの症状に繋がってきてしまいます。
また、小脳と脳幹は平行感覚以外にも次のような役割を持っているため、小脳と脳幹の機能低下は浮動性(動揺性)めまいだけではなく吐き気や嘔吐、飲み込みづらい、高血圧、低血圧、動機、息切れ、息苦しさ、また普段無意識でできていた運動ができなくなったり、歩きづらくなったりなど、他の症状も一緒に現れることがあります。
- 脳幹・・・体の感覚神経から得た情報を脳の中枢に伝える中継地点的な役割、自律神経の中枢であるため呼吸・心拍・血液の循環・体温調節、血圧調節、嚥下調節などの役割がある。
- 小脳・・・小脳は人間の運動機能の中枢であり、平衡感覚や姿勢など、人間の運動機能を制御する役割があります。また、他にも運動機能の学習をしたり、運動をスムーズに行うための役割も持っています。
眼前暗黒感めまい
眼前暗黒感めまいは、目の前が真っ暗になる、いわゆる立ちくらみのような「くらっとくる」症状のめまいです。
ひどい場合には、そのまま失神してしまうこともあります。
眼前暗黒感めまいの原因は脳にあります。
脳は体の中で一番血液を使用する器官です。
そのため、常に血液を送り続けなければなりません。
通常は体の動きや環境に合わせて血液が常に脳に送られるように調整しています。
しかし、この調整機能が疲労やストレスなどによって乱れると、体の動きや環境に合わせてあ調整ができなくなり、脳に血液が足りなくない状態、いわゆる貧血状態を作り出してしまいます。
脳に血液が足りなくなる貧血状態が、眼前暗黒感めまいの原因です。
例えば、ずっとしゃがんでいて、急に立ち上がると立ちくらみがすることがあります。
これは、急に立ち上がるという動作に調整機能がついていかず、一時的に脳に血液が足りない状態となるために起きる現象です。
また、お風呂上がりに立ちくらみをするのも、お風呂で血管が緩んだ状態で立ち上がることで、血液を頭の高さに合わせて上昇させることができず、一時的に脳に血液が足りない状態を作り出してしまうため起きる現象です。
他にも、お酒の飲み過ぎや、強いストレスなど、さまざなシチュエーションで脳に血液が足りなくなる状態となり、眼前暗黒感めまいの症状があらわれることがあります。
めまいの主な原因とは?
めまいは「めまいの原因が何か?」によって次の4つの種類に分類されます。
- 全身性めまい・・・血液の循環不良が原因
- 末梢性めまい・・・リンパ液の循環不良(耳が原因)
- 心因性めまい・・・外的要因、内的要因、生活習慣におけるあらゆるストレスが原因
- 中枢性めまい・・・脳出血など脳の障害(脳が原因)
また、これら4種類のめまいには自律神経が深く関係しており、自律神経が乱れると血液の循環や、耳、脳(小脳・脳幹)などに大きな影響を及ぼしてしまいます。
一方で、病気や疾患などにより血液の循環や耳、脳(小脳・脳幹)の機能に不調を生じてしまうことにより、自律神経が乱れそれがめまいの原因になってしまう場合もあります。
そのため、めまいが起きる原因としては、自律神経の乱れが起因になっている場合と、病気や疾患が起因となっている場合の次の2パターンが考えられます。
- 自律神経が乱れる→血液の循環や、耳、脳(小脳・脳幹)などに影響→めまい
- 病気や疾患などにより血液の循環や、耳、脳(小脳・脳幹)などに不調→自律神経の乱れ→めまい
病気や疾患などが起因となっているめまい
病気や疾患などにより血液の循環や、耳、脳(小脳・脳幹)など平衡感覚を司る器官の働きが低下している場合には、根本原因である病気や疾患を治療する必要があります。
この場合、病気の症状の一つとしてめまいが現れているということになりますので、めまいの症状の他に症状が見られたり、めまいの度合いが強かったり、頻度が多かったりなど、その病気特有の特徴が現れてきます。
例えば、女性に多い「メニエール病」などは、過労や睡眠不足、精神的ストレスによって起きる病気です。
この場合には、突然のめまいを繰り返したり、嘔吐や耳の閉塞感、難聴、耳鳴りなどの特徴があります。
また、他にも次表のようにめまいを症状として持つ様々な病気や疾患があります。
病気・疾患名 | めまいの種類 | めまいと共に現れる主な症状 |
突発性難聴 | 回転性めまい | ・突然起きる難聴
・耳鳴り ・吐き気 |
メニエール病 | ・突然のめまいを繰り返す
・嘔吐 ・耳の閉塞感 ・耳鳴り ・難聴 |
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聴神経腫瘍 | ・顔面のしびれ、麻痺
・ものが二重に見える ・耳鳴り ・難聴 |
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高血圧症 | ・頭痛
・肩こり ・耳鳴り ・動悸 ・顔のほてり |
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良性発作性頭位めまい | ・頭や体を動かした時の一時的なめまい | |
前庭神経炎 | ・突然の激しいめまい
・吐き気 ・嘔吐 |
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貧血 | 回転性めまい、または浮動性(動揺性)めまい | ・頭痛
・倦怠感 ・動悸 ・顔面蒼白 |
偏頭痛 | ・頭の片側のズキズキとした痛み | |
脳梗塞 | ・頭痛
・舌のしびれ、麻痺 ・ろれつが回らない ・体の片側麻痺 |
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脳出血 | ・激しい頭痛
・目がよく見えなくなる ・嘔吐 |
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脳腫瘍 | ・頭痛
・吐き気 ・嘔吐 ・言語障害 ・痙攣 |
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不整脈 | 浮動性(動揺性)めまい | ・脈が不規則
・動悸 ・息切れ ・胸が痛い ・失神 |
脊髄小脳変性症 | ・ろれつが回らない
・体のバランスがとれない |
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頚椎捻挫(むち打ち損傷) | ・頭痛
・首や肩まわりの痛み ・目のかすみ ・耳鳴り |
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更年期障害 | ・頭痛
・発汗 ・ほてり ・倦怠感 ・精神不安定 |
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眼筋麻痺 | ・ものが二重に見える・目の奥の痛み | |
心因性めまい | ・激しい不安やストレス、緊張を感じる | |
動揺病(乗り物酔い) | ・顔面蒼白
・吐き気 ・生唾 ・嘔吐 ・冷や汗 |
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低血糖症 | ・眠気
・不安感 ・疲労感 ・震え ・動悸 ・意識障害 |
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起立性低血圧症 | 眼前暗黒感めまい | ・立ちくらみ |
【参考元:成美堂出版『家庭の医学』を元に作成】
このように、病気や疾患がめまいの根本原因である場合には、めまいと合わせて他の症状が現れていないかどうかを見ることが大切になってきます。
もし、そういっためまいと合わせて他の症状が現れている場合には、ご自身でなんとかしようとせず、病院に行き専門医の方の診察を受けた方が良いと言えます。
また、めまいの症状を伴う病気や疾患の中には、早急な対応が必要となるものもあるため、特に、次のような症状も合わせて現れた場合には、できるだけ早急な対応を心がけた方が良いと言えます。
- 耳鳴りを伴う場合
- 難聴を伴う場合
- 強い頭痛を伴う場合
- 強い吐き気や嘔吐を伴う場合
- 失神してしまった場合
- 手足のしびれや麻痺を伴う場合
- 歩行障害など運動機能に障害がある場合
- ろれつが回らなくなるなど言語障害を伴う場合
- 意識障害を伴う場合
近年悩んでいる人が増えている良性発作性頭位めまい症
めまいに悩む人のうち約半数は良性発作性頭位めまい症が原因と言われています。
このめまいの特徴はメニエール病のように自分もしくは辺りがぐるぐると回っているように感じる回転性めまいです。
また、中には頭などがぐらぐらしたりする動揺性めまいの場合もあります。
何かの拍子に頭を動かした時にめまいを発症しやすく、30秒から1分程度の短い時間でおさまるのが特徴です。
良性のめまいの一種であり、突然めまいが発生しても、それ以上悪化しないのも特徴の一つです。
耳の奥の内耳という場所には、頭部の傾きに応じて動く耳石(じせき)という石があり、これが頭を動かした時にどの方向に移動したかどうかで「頭が動いているかどうか」を脳が判断しています。
この耳石(じせき)が加齢や、ホルモンバランスの乱れ、スポーツなどによる頭部への衝撃などによってはがれ落ち、人の平衡感覚を司る三半規管に入り込み、リンパ液の流れを大きく乱してしまうのが、良性発作性頭位めまい症の原因です。
三半規管のリンパ液の傾きなどによって、人間は平衡感覚を保てているので、ここに耳石が入りリンパ液をかき乱すと、間違った情報が脳に送られてしまい、これがめまいに繋がるのです。
また、運動不足の場合にも、リンパ液の中に流れ込んだ耳石やリンパ液の中で自然と砕けた耳石の破片が一箇所に集中して大きな塊となってしまうので、良性発作性頭位めまい症を発生しやすくなります。
自律神経の乱れが起因となっているめまい
自律神経の乱れが起因となって起きているめまいも、自律神経失調症に見られる次のような症状が合わせて見られることがあります。
病気や疾患の場合には、その病気や疾患を治療することでめまいもおさまる可能性が高くなります。
しかし、自律神経の乱れが起因となって起きているめまいは、自律神経が乱れる原因を取り除き、乱れてしまった自律神経を整えなければずっと続きます。
そのため、慢性化しやすく、長期に渡りめまいで悩んでいる方の場合、自律神経の乱れが起因となってめまいに繋がっている可能性が高いと言えます。
めまいの改善方法
これまでめまいには自律神経が大きく関わってくるというお話をしてきました。
そのため、めまいを改善するためには、次の2つの方法を行う必要があります。
- 自律神経の乱れの原因を取り除く
- 乱れた自律神経を整える
では、それぞれどのような方法なのかを詳しく解説していきます。
自律神経の乱れの原因を取り除く
自律神経の乱れる原因は主に次の3つのストレスにあります。
- 外的要因によるストレス・・・気候の変化、環境の変化、病気や怪我など
- 内的要因によるストレス・・・感情の変化、遺伝的要因、精神的ストレスなど
- 生活習慣によるストレス・・・食生活の乱れ、運動不足、働きすぎ、夜更かし(徹夜)、ダイエット、姿勢の悪さ、慢性疲労など
自律神経を乱す原因のほとんどがこの「外的要因」「内的要因」「生活習慣」からのストレスです。
例えば先ほどご紹介した病気や疾患がめまいの根本原因としてある場合には、この病気や疾患を治療しない限り、自律神経は乱れ続けてしまいます。
これら3つの要因によるストレスを受け続ける状況にある限り、一度乱れを整えたとしても、自律神経は再度乱れてきてしまいます。
そのため、後ほど「乱れた自律神経を整え、めまいを改善する方法」で解説する方法だけではなく、合わせてみなさんで自律神経が乱れにくい状況を作る次のようなセルフケアを行う必要があります。
よくめまいの改善方法としてWeb上で掲載されている「睡眠」や「正しい食生活」「適度な運動」「ストレス解消」などの方法は、「自律神経自体を整えめまいを改善する方法」ではなく、自律神経を乱している原因を取り除き、自律神経を乱しにくくすることで「めまいが起きにくい状況を作る方法」なのです。
そのため、それをやったとしてもすぐに自律神経の乱れが整えられ、めまいが改善するということはありません。しかし、これはめまいの原因である自律神経の乱れを改善する上では必要なケアの1つです。
では、一体どのようなセルフケアを心がけていけば良いのでしょうか、自律神経が乱れにくい状況を作る4つのセルフエアをご紹介いたします。
自律神経の乱れにくい状況を作るセルフケア1:正しい睡眠習慣
自律神経は、活動時と緊張時に働く交感神経と、リラックス、睡眠時に働く副交感神経の2種類に大別されます。
実に様々なストレスを日々受ける可能性の高い現代人は、ストレスによる緊張状態から交感神経が活発に働きすぎ、副交感神経への切り替えがしづらい傾向があります。
そのため睡眠時には副交感神経が優位にならなければならないはずなのに、交感神経からの切り替えがうまくいかず自律神経が乱れ、不眠や寝ても疲れが取れない、めまい、頭痛、倦怠感、体のだるさなど様々な症状につながってきてしまいます。
そのため、できる限り交感神経から副交感神経への切り替えをしやすくする習慣をつけ、それを阻害する要因を取り除くように心がけることが大切です。
主に次のような事に気をつけましょう。
- できる限り同じ時間に起床し、同じ時間に就寝する習慣をつける
- できる限り涼しく、静かで、暗い状態で就寝する
- 就寝場所近くに電子機器を置かない
- 毎朝起きたら、朝日を浴びる
- 音楽を聞く、本を読むなどオリジナルな睡眠習慣をつける
- 休みの日も平日と同じ睡眠習慣を継続する。だらっと昼まで寝ない
- 「寝なければいけない」と自分にプレッシャーをかけない、眠れない時は一度起き、散歩をしたり、本を読むなどで心を落ち着ける
自律神経の乱れにくい状況を作るセルフケア2:規則正しい食生活
食事の際には、副交感神経が活発に働き、胃が胃液を多く分泌します。
しかし、食事で食べすぎたり、逆に食べなさすぎたり、空腹時に胃を刺激するアルコールを入れたりしてしまうと、それにより胃へストレスがかかり、それが原因で自律神経が乱れてしまいます。
また、加工食品やレトルト食品、インスタント食品のような食品添加物を含む偏った食生活により血行が悪くなったり、体のいたるところに不調が出てきてしまいます。
それがストレスとなって自律神経の乱れを引き起こしてしまうこともあります。
さらには、人間は通常夜には副交感神経が優位になり、また内臓系はお休みモードに入ります。
そのため就寝直前にものを食べると、睡眠中にも胃が働かなければならない上に、胃液を十分に出すことができないためそれが様々なストレスになって自律神経の乱れを引き起こしてしまうこともあります。
食生活が特に不規則になりがちな現代では、特にこの規則正しい食生活を行うことが難しいと言えますが、次のようなことを少しずつ意識しながら、自律神経が乱れやすい食習慣を自分なりに改善していくように心がけてみましょう。
- できるだけ栄養バランスの良い食事をとる
- 糖質やカフェインの取りすぎに気をつける
- アルコールを取りすぎない
- 食品添加物を多く含む食事をできる限り避ける
- 食べすぎない、腹八分目を心がける
- 絶食を避け、消化に良いものを食べる
- 就寝の2〜3時間前は飲食しない
- できる限り同じタイミングで食事をとる
- 間食を避ける
自律神経の乱れにくい状況を作るセルフケア3:適度な運動
運動時には緊張状態となるため、交感神経が活発に働きます。
交感神経と副交感神経はシーソーのようにリズムよく切り替わるため、運動不足になると交感神経を活発に働かせることが逆にできずに、副交感神経との切り替わりがうまくいかないということが起きてしまいます。
そのため、適度な運動によって、交感神経をしっかりと働かせる習慣を持つことは非常に良いことなのです。
また、体を動かすことは精神面でもストレス発散になるため、そういった意味でも非常に効果の高いセルフケアと言えるでしょう。
しかし、アスリートのように運動のしすぎは体にストレスを与えすぎてしまいます。
そのため、1日30分程度のウォーキングを毎日続けるのがベストです。
1週間に1回3時間の集中トレーニングを行うよりも、1日30分程度のウォーキングを毎日続ける方が効果的ですので、ぜひそういった週間を心がけてみてください。
忙しくて時間が取れないという人は、通勤電車の1駅前で降りて、最寄り駅まで歩くだけでも良いと言えますし、ウォーキングではなく、30分程度の柔軟体操でも良いと言えます。
自律神経の乱れにくい状況を作るセルフケア4:ストレス習慣
日々受けるストレスの中でも特に自律神経に大きな影響を与えてしまうのが、精神的なストレスです。
特に仕事上で受ける精神的ストレスは非常に大きいものです。
これらを少しでも、和らげるためにも「ストレスを受ける状況を変える努力」「受けたストレスを解消する習慣をつける努力」をしていくことが大切です。
音楽を聞くことや、アロマオイルを使うことでも、また運動をすることでもストレス発散を習慣づけることはできます。
まずは、こういった習慣をつけることから始めてみましょう。
もしそういった習慣すら意味をなさないほどの強いストレスを受ける状況があるのであれば、仕事を変えたり、やめたりなど根本的な状況を変えていくことも考えていく必要があります。
ストレス解消という名目で一番やってはいけない、むしろ逆効果となってしまうのが、アルコールの過剰摂取と、暴飲暴食、過度な運動です。
ストレスはこれらの行動を私たちに促してしまう強い力があります。
これらは長期的に見ると自律神経の乱れを助長し、より今の状況を悪くしてしまう一因になってしまうので、十分注意するようにしましょう。
乱れた自律神経を整える
自律神経を乱しにくい状況を作り出したところで、乱れてしまった自律神経が戻るのには少し時間がかかってしまいます。
そのため、合わせて「乱れてしまった自律神経を整える方法」も行い、今現在乱れてしまっている自律神経を整えることで、めまいを改善していく必要があります。
乱れた自律神経を整える一般的な方法としては「ツボ押しマッサージ」と「呼吸法」があります。
自律神経は私たちの意思でコントロールをすることが難しい神経であり、直接整えることは不可能です。
そのため、自律神経がコントロールしている呼吸や、自律神経と関係の深い経穴(けいけつ:ツボ)などからアプローチをして自律神経を整えていく必要があります。
では、それぞれどのような方法なのかを詳しく解説していきます。
自律神経の乱れを整えるツボ押しマッサージ
自律神経の乱れを整えるのに適したツボは以下になります。
刺激の方法なども参考に、仕事の合間などの空き時間にマッサージしてみましょう。
ツボを押す際は、息をゆっくり吐きながら行うのがポイントです。
百会(ひゃくえ)
頭の血行をよくし、脳の緊張をほぐすツボです。
力を入れすぎないように注意しましょう。
中指の腹をツボに当てて、右方向に10〜20回押しながら回していくと良いです。
太衝(たいしょう)
足の親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみにあるツボです。
両手の親指で押して揉みましょう。
労宮(ろうきゅう)
緊張を解き、神経を鎮め、リラックスさせる際に有効なツボです。
親指の腹で手首の親指側に向かって力を加えると良いです。
ゴルフボールなどを転がしながら刺激しても良いです。
内関(ないかん)
自律神経を整えてくれる腕のツボです。
手首を掴むように親指の腹で指圧するのが良い。
骨があるため力を入れすぎないように注意。
また、めまいの症状を改善する効果が期待できるツボもありますので、めまいを感じたら、合わせてマッサージしてみましょう。
百会(ひゃくえ)
頭の血行をよくし、脳の緊張をほぐすツボです。
力を入れすぎないように注意しましょう。
中指の腹をツボに当てて、右方向に10〜20回押しながら回していくと良いです。めまいと同時に頭痛が気になるかたにおすすめのツボです。
しかし、ズキズキとした偏頭痛がある場合や、明らかに脳の異常が原因である病気や疾患の場合には避けてください。
翳風(えいふう)
耳の後ろの骨のでっぱりと耳たぶの中間にある凹みにあるツボです。
耳の血流をよくするツボです。
回転性めまいに効果的です。
風池(ふうち)
両耳の後ろ側の延長線が交わった頭のてっぺんの部分にある少し凹んだ部分のツボです。
耳の血流をよくするツボです。
回転性めまいに効果的です。
中渚(ちゅうしょ)
薬指と小指の付け根から薬指の関節をたどって、手首の方に向けて関節を乗り越えたところにあるツボです。
耳の不調全般に効果があるツボですので、回転性めまいの場合には効果が期待できます。
耳鳴りなどにも効果が期待できるツボです。
自律神経を整える呼吸法
自律神経は私たちの意思ではコントロールできません。
しかし、その中で唯一自分の意思でコントロールできるのが、呼吸です。
交感神経が優位になりがちな現代人の呼吸は浅くなりがちです。
その呼吸を朝晩の2回、整える習慣をつけることで、乱れてしまった自律神経を整える効果が期待できます。
やり方は次の1〜4の手順で行います。
- 仰向けに横になる
- 体全体の力を抜く
- 息を3秒かけてゆっくりと吸い、6秒かけて息をゆっくりと吐く(複式呼吸を意識しましょう)
- 1〜3を繰り返し行う
また、精神的ストレスを解消する方法の一つである瞑想(メディテーション)と組み合わせて行うのも有効です。
その場合は次の1〜4の手順で行います。
- 楽な姿勢で座る
- 目を閉じ、呼吸にすべての意識を集中する
- 3秒かけて息をゆっくりと吸い、6秒かけて息をゆっくりと吐きます。このとき息をゆっくり吐くことに集中しましょう。
- 呼吸だけに意識を集中し、この状態を10分ほど行います(※最初長いと感じた人は3〜5分程度から始めてみると良いでしょう)
乱れた自律神経を整え、めまいを改善する方法
乱れた自律神経を整える方法として「ツボ押しマッサージ」「呼吸法」をご紹介しましたが、これらよりもより自律神経とより関係が深く、自律神経がコントロールしている内臓の緊張状態をほぐしてあげることでより効果的に自律神経の乱れを整えていくことが可能です。
結果的に辛いめまいの症状を改善に導くことができます。
この内臓の緊張状態をほぐしてあげる方法こそが「お腹ほぐし整体」です。
自律神経乱れると体中の内臓が緊張状態になり、体の中を流れる「気」「血」「水」といったいわゆる血液やリンパ液、栄養素などの循環が滞ってしまいます。
この循環が滞ってしまったことで、毒素がところどころにたまってしまい、それがお腹の中にしこりとして現れてくるのです。
このしこりをほぐし、内臓へのストレスをほぐし、体の中の「気」「血」「水」の循環をスムーズにしてあげることで、それらをコントロールする自律神経を整えていくのが「お腹ほぐし整体」です。
自律神経が乱れると、それをコントロールする内臓の不調につながり、それが各内臓と関連の深い次の箇所にお腹のしこりとなって現れます。
このお腹のしこりができたまま放置しておくと、さらにそこから体中に張り巡らされた経絡の「気」の流れが悪くなり、各内臓に関係の深い経穴(けいけつ)、いわゆるツボの違和感や痛みに広がっていきます。
そのため、ツボ押しマッサージよりも、より内臓に関係の深いお腹のしこりをほぐすことの方がより内臓の不調を直し、自律神経を整える効果が高いと言えます。
わかりやすく言えば、ツボ押しマッサージとの違いは「内臓への近さ」です。
例えば何か内臓に異常が出た時に、一番最初にコリがあらわれるのが距離が近いお腹です。
お腹のコリによって経絡の流れが滞り、それがやがて巡りに巡って手や足など体中のツボに異常が現れます。
つまり、お腹のコリは、体中のツボの異常を作り出す根本原因であり、これをほぐしてあげた方が、より症状の改善が期待できるという訳なのです。
また、病院や薬で治療できるのは、病気や疾患であり、自律神経の乱れを治すことは難しいのが現状です。
また、今現在主流となっている整体院では、経穴(けいけつ)への刺激がメインであり、お腹のしこりに着目しているところはあまりありません。
めまいの場合には、上図の「肝」と「腎」にコリが現れることが知られていますので、これを鍼(はり)、指圧、などによってほぐしてあげる事で、めまいの改善が期待できます。
また、もっと詳しく解説すると、前述しためまいの種類によってコリが現れる場所が変わってきます。
- 回転性めまい・・・脾と肝(脇腹の肋骨まわり)
- 動揺性めまい・・・腎(へそまわり)と肝(骨盤まわり)
- 眼前暗黒感めまい・・・腎(へそまわり)と脾
これらをしっかりとほぐしてあげる事で、めまいに関連する臓器の調子を整え、自律神経を整え、結果としてめまいの症状の改善につなげることができるのです。
お腹ほぐし整体は、病院や薬でも治らない、また原因がよくわからずに悩んでしまいがちな慢性的なめまいの症状を改善する一番の近道かもしれません。
当院では、19年の臨床経験と、これまで約45,000人の背術経験から見出した、あなた独自のお腹のしこりを探し出し、お腹のしこりをほぐすことによって自律神経の乱れを整え、めまいを改善する「お腹ほぐし整体」が行える関東圏内でも数少ない治療院です。
慢性的なめまいで悩んでいる、苦しんでいるという方はぜひ一度お問い合わせください。
お電話ありがとうございます、
東陽治療院でございます。