症状ブログ:起立性調節障害

起立性調節障害(OD)とは?

起立性調節障害(OD)とは、自律神経失調症の症状の一つであり、立ち上がった時にめまい、立ちくらみ、動悸などが起こる病気です。

他にも自律神経が乱れていることにより、頭痛や全身の倦怠感、腹痛、乗り物酔い、不眠、食欲不振、判断力・集中力の低下など自律神経失調症のような症状も見られることがあります。

思春期の子どもに多いのが特徴で、男の子よりも女の子の方が発症しやすい傾向にある病気であり、朝起きれない、午前中調子が悪いなど、午前中に症状がでやすいのも特徴の一つと言えます。

起立性調節障害(OD)は子どもに多い

起立性調節障害(OD)は思春期前後の子どもに多くみられる病気です。

日本学校保険会が平成22年に小学生、中学生、高校生を対象に行った調査によると、起立性調節障害の「寝起きが悪い」「午前中に調子が悪い」という主な症状を訴える生徒の数は、次図のようになります。

起立性調節障害

※自覚症状の統計データであるため、軽症の場合も含む

【参考元:厚生労働省「児童生徒の起立性調節障害症状」】

この図から、小学校高学年から増加し始め、中学生、高校生になるとおよそ4人に1人が起立性調節障害(OD)を抱えているということがわかります。

また、男子よりも女子の方が症状を抱えている人の割合が多い傾向があります。

起立性調節障害(OD)を発症する子どもの3割は不登校に!

起立性調節障害は午前中に症状が現れやすいため、朝が起きられず遅刻や欠席などをしてしまう事がよくあります。

結果として周囲から「怠け者」扱いをされたりすることが多くなります。

起立性調節障害(OD)を発症しやすい子どもは周囲につい気を使ってしまう真面目な子が多く、授業の途中から入ったり、また怠け者として扱われる事への精神的負担の大きさから不登校になってしまう事もあります。

実際に起立性調節障害を持つ子どもの約3割〜4割(3人に1人)が不登校になっていると言われています。

そのため、頭痛やだるさによって朝起きられないなど、学校生活に支障をきたすようであれば軽症のうちからしっかりとした対処をしていくことが大切です。

大人になって再発するケースは4割

起立性調節障害(OD)は、一般的に小学校高学年から増え始め、中学校、高校生と急増し、大人になるにつれて症状は徐々に和らぐ傾向があります。

しかし、子どもの頃に起立性調節障害(OD)を発症した人のおよそ4割が、大人になって起立性調節障害を再発しているという調査結果もあります。

大人の起立性調節障害の症状は、子どもとほとんど変わらず、朝に起きることができなかったり、起き上がると立ちくらみがしたり、午前中に調子が悪く仕事に行きづらいというのが主な症状です。

また、他にも自律神経失調症のように、不眠や倦怠感、食欲不振、集中力の低下、頭痛、動悸など様々な症状もあらわれてきます。

起立性調節障害(OD)の主な症状とは?

起立性調節障害(OD)の主な症状は、立ち上がった際のめまい、立ちくらみ、動悸です。

何らかの原因で自律神経が乱れ、血流のコントロールがうまくできなくなってしまったことが起立性調節障害(OD)の症状をもたらします。

通常、立ち上がった際には、自律神経が血圧をあげて脳や上半身に血液をしっかりと送ろうと働きます。

しかし、起立性調節障害(OD)の場合、血圧が上昇せずに、脳や上半身に血液が足りない状態を作り出してしまうのです。

血液によって酸素や栄養素がうまく体中に行き渡らないため、疲れやすかったり、だるくなったり、疲労が回復しにくくなったり、脳に血液がいかないことから思考力や判断力も低下していきます。

また、体の動きに血液の動きがついていけないために、ちょっとした運動で動悸がしたりします。

他にも次のような自律神経失調症のような症状が、特に朝寝起きや午前中に見られるのが特徴です。

主な症状 立ちくらみ、朝起きられない、気分不良、立っていると気分が悪くなる、失神(または失神のような症状)、頭痛、全身倦怠感、不眠、食欲不振、集中力・判断力の低下、イライラ、動悸、車酔いなどが午前中に強く現れる。午後には回復することが多い。

そのため起立性調節障害(OD)を持つ子どもは運動を嫌い、家でゴロゴロしていることが多く、こういった生活が続くと症状が悪化し、不登校や引きこもりにつながってきてしまいます。

うつ病と間違われやすい?うつ病と起立性調節障害(OD)の症状の違い

起立性調節障害は、症状などに共通点があることから、うつ病と間違われてしまうことも多くあります。

しかし、注意したいのが、うつ病の薬(抗うつ剤:SNRI、三環系、四環系など)を服用すると、かえって起立性調節障害(OD)の症状を悪化させてしまう可能性があるという事です。

起立性調節障害とうつ病には共通点がいくつかありますが、次のような違いがあるので、それをしっかりと把握しておくことが、こういった可能性を未然に防ぐことにつながります。

表1:起立性調節障害(OD)とうつ病の症状の違い

主な症状 違い
起立性調節障害(OD) 立ちくらみ、朝起きられない、気分不良、立っていると気分が悪くなる、失神(または失神のような症状)、頭痛、全身倦怠感、不眠、食欲不振、集中力・判断力の低下、イライラ、動悸、車酔いなど。 一日中症状が続くことはなく、夕方から夜にかけて回復する。
うつ病 不眠、睡眠過多、イライラ、集中力減退、罪悪感、無力感、無価値感、気分の落ち込み、気力減退など。 一日中症状が続くため、夕方や夜になっても回復しない。

上表のように起立性調節障害の症状は1日中続かないのが特徴です。

午前中に症状が現れ、昼、夕方、夜と時間が経つにつれて回復していく事が多くなります。

一方でうつ病は時間帯による症状の変化はなく、一日中症状が続きます。

こういった1日の時間帯によって症状が回復するかどうかによって、起立性調節障害(OD)なのか、うつ病なのかを見分けることができます。

起立性調節障害(OD)の一般的な診断方法

一般的に次の1〜11の症状のうち3つ以上が当てはまるか、2つ以上強い症状が当てはまる場合に、他の病気が見られない場合に起立性調節障害の可能性が高いと診断されます。

  • 立ちくらみ、めまい
  • 起立時の失神
  • 気分不良
  • 朝起きれない
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 動悸
  • 午前中に調子が悪く、午後になると回復する
  • 食欲不振
  • 車酔い
  • 顔色が悪い

次に起立性調節障害(OD)であるかどうかを、新起立試験と呼ばれる試験を次の1)〜4)のような手順で午前中に行います。

  1. 仰向けに寝て10分間安静にする
  2. 血圧を測る(3回測った値の中央値を取る)、また脈拍、血流音なども調べる
  3. 起き上がり血流音を調べる
  4. 起き上がりった後1、3、5、7、10分ごとに血圧と脈拍を測定する

※1回で検査に異常が出ない場合もありますので、そういった場合には後日再検査を行います。再検査をしても異常が見当たらず、症状だけが見られる場合には、起立性調節障害ではない他の原因を疑います。

この新起立試験の結果、起立性調節障害を症状が出るタイミングや血圧、脈拍、日常における症状の出方あんどから次表のような4つのタイプと3つの重症度合いによって診断を行なっていくのが一般的です。

起立性調節障害

【参考元:田中英高監修「起立性調節障害がよくわかる本」(講談社)】

起立性調節障害は何科で診てもらえる?

起立性調節障害は小児科で診てもらうことができます。

子どもに多い病気という事で、小児科の先生の方が専門的知識を持っていることが多い傾向があります。

そのため中学生など年齢に関わらず、起立性調節障害の疑いがある場合には小児科に行くのが良いと言えます。

先ほどご紹介した通り、午前中に症状が現れて、午後は回復するといった時間帯によって症状が回復するようであれば起立性調節障害が疑われますので、一度近くの小児科を受診しましょう。

また、受診するのは症状があらわれやすい午前中に行くのがベストです。

夕方や夜など症状が回復してからでは、診断がうまく行えない可能性もあります。

多少きつくても、午前中に小児科を受診するのが良いでしょう。

起立性調節障害(OD)の4つのタイプとは?

起立性調節障害(OD)は近年心拍や血圧の変動の違いによって次の4つのタイプに分けられることが近年の研究によりわかってきました。

先ほど一般的な診断方法でご紹介した通り、新起立試験という試験を行い、4つのタイプのうちどれに当たるのかを診断していきます。

  • 起立直後性低血圧
  • 体位性頻脈(ひんみゃく)症候群
  • 神経調節性湿疹
  • 遷延性(せんえんせい)起立性低血圧

その後次表のように、日常生活における症状などの出方によって「軽症」「中等症」「重症」の3つのパターンかを判断していきます。

少し難しい専門用語が並んでいますが、簡単に言えば起立時にどのタイミングで症状が出てくるかによって4つのタイプに別れています。

※この4つで全てではなく、今現在この4つに当てはまらない未知のタイプ(過剰反応型、脳血流低下型)に当てはまるものが15%程度あり、これらの診断を新起立試験で行うのは難しいとされています。今現在、専門的な機関でなければ、この2つは正確に診断することができません。

起立直後性低血圧(INOH:アイノー)

起立した直後に強い血圧低下が見られ、回復に時間がかかるのが起立直後性低血圧タイプです。

起立した超くごに低下した血圧が元に戻るのに25秒以上かかった場合には、このタイプと診断されます。

症状としては、起立した直後に強い立ちくらみや眼前暗黒感、全身倦怠感が見られるのが特徴です。

軽症型と重症型があり、血圧の低下具合でどちらかが判断されます。

また、子どもの場合には症状として頻脈(ひんみゃく:脈拍が上がること)も現れることがあります。

起立性調節障害で一番多いタイプがこの起立直後性低血圧タイプです。

体位性頻脈(ひんみゃく)症候群(POTS:ポッツ)

起立直後には血圧低下は見られないが、起立直後から頻脈(ひんみゃく:脈拍が上がること)が発生し続けるタイプです。

起立して数分たった後に血圧の低下が見られ、起立性調節障害の症状である全身倦怠感や頭痛、ふらつきなどがでる場合はこのタイプと診断されます。

起立直後性低血圧の次に多く見られるタイプです。

神経調節性失神(NMS)または血管迷走神経性失神(VVS)

神経調節性失神タイプ(または血管迷走神経性失神タイプ)は、起立直後には特に大きな血圧低下は見られませんが、起立してしばらくすると突然急激な血圧低下が見られ、顔色が悪くなったり、失神してしまったり、立っていられないほどの立ちくらみといった強い起立性調節障害の症状が現れるタイプです。

起立直後性低血圧(INOH)、体位性頻脈(ひんみゃく)症候群(POTS)、遷延性(せんえんせい)起立性低血圧などのタイプの途中で突然神経調節性失神タイプ(または血管迷走神経性失神タイプ)が現れることもあります。

遷延性(せんえんせい)起立性低血圧(delayed OH)

遷延性(せんえんせい)起立性低血圧は、起立後は目立った血圧低下はありませんが、徐々に血圧が低下し3〜10分後に起立性調節障害の症状が見られるタイプです。

過剰反応型と脳血流低下型

起立直後性低血圧(INOH)と体位性頻脈症候群(POTS)、血管迷走神経性失神(VVS)、遷延性(せんえんせい)起立性低血圧(delayed OH)の4つのタイプの他に、近年新しい2つのタイプ(過剰反応型と脳血流低下型)があることが分かっており、それらは起立性調節障害の方全体の15%程度にあたると言われています。

過剰反応型は、起立直後に血圧が上昇してしまうタイプであり、脳血流低下型は、起立後の血圧や脈拍には異常が見られないが、脳血流のみが低下しているタイプです。

起立性調節障害の主な原因

起立性調節障害の主な原因は自立神経の乱れによるものです。

まず自律神経がどのようなものなのかを説明します。

自律神経は、次図のように活動時、緊張時に働く交感神経と、リラックス時、睡眠時に働く副交感神経がシーソーのように場面場面で適切に切り替わりながら私たちの生体機能をコントロールしています。

自律神経

例えば私たちが運動をすると体に熱がたまります。すると自律神経は素早く切り替わり、汗を出して熱を外に逃します。

また、寒い場所にいると体温が下がってきてしまいます。

すると、自律神経は筋肉をガタガタと震えさせ熱を発生させ、体を温めようとします。

このように、私たちがどんな動きをしていても、どんな環境下にあっても、交感神経と副交感神経を場面場面で切り替え、常に体を正常に保とうと働いてくれるのが自律神経なのです。

交感神経と副交感神経が適切なタイミングで切り替わることで、私たちはどんな動きをしていても、どんな環境下でも健康に生きていくことができるのです。

この自律神経が何らかの原因によって乱れてしまうと、交感神経と副交感神経が適切なタイミングで切り替わることができず、私たちの行う様々な動作や環境に適応できなくなってきてしまいます。

起立時には、重力によって血液が下に溜まってしまいやすい状態になります。

通常は自律神経が瞬時に切り替わり心拍数を高め、血圧を上昇させ、血流が上半身や脳にしっかりと行くように調節されるので問題ありません。

しかし、起立性調節障害の場合には、自律神経の乱れにより、起立時の交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできません。

その結果、血圧を低下させてしまい、上半身や脳の血流不足を引き起こしてしまいます。

これが、起立性調節障害の主な原因です。

具体的には、次のようなことが原因で起立性調節障害を発症する子どもが多いので、もし当てはまる方で、朝が弱く、午前中の授業への遅刻や欠席が多くなっている場合は、注意してください。

  • 運動のし過ぎ(授業以外での部活の朝練、午後練などが激しい場合)
  • ストレス(学校、部活、塾などで肉体的精神的に疲弊してしまっている場合)
  • 不規則な生活
  • 水分不足
  • 運動不足

起立性調節障害を改善する一般的な対処法

起立性調節障害を改善するためには、乱れてしまった自律神経を整える必要があります。

また、それだけではなく、自律神経を乱す原因を改善することが大切です。

内臓の働きや血圧、体温を私たちの意志でコントロールできないように、自律神経に直接アプローチをすることはできません。

そのため、自律神経を乱す原因を改善することで自律神経に間接的にアプローチし、乱れてしまった自律神経を徐々に整えていくという方法が一般的な対処法として行われます。

自律神経を乱す原因としては主に次のようなものが挙げられます。

  • 不規則な生活
  • ストレス
  • 水分不足
  • 運動不足

こういった原因を一つずつ改善していくことで、自律神経が乱れにくい生活を送ることが乱れてしまった自律神経を徐々に改善させていくことにつながっていきます。

具体的には次にご紹介するような方法が、一般的に起立性調節障害の対処法として行われます。それぞれ、どのような方法なのかを具体的にご紹介いたします。

※一般的な対処法(非薬物治療)では改善しない場合には、投薬により血流をよくする薬を飲み症状を和らげる投薬治療を行う場合もあります。

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